自己紹介(その1)からの続きです。
シンガポールに赴任した私は、完膚なきまでに打ちのめされました。
同僚が話す英語が全く聞き取れないのです。
「読み」、「書き」、「話す」、「聞く」の4つの能力があります。
その内、「読み」、「書き」については、自分のペースで行うことができます。
「話す」についても、知っている単語を、知っている文法に配置して話せば、ある程度たどたどしくても、何とか伝わります。
「聞く」が問題なのです!
相手は自分のペースで話してきますし、話しの内容を9割以上聞き取れないと会話にならないのです(特に仕事の場面では!)。
曖昧に相槌を打とうものなら、相手はこちらが理解し、承諾したものとして話を前に進めてしまいます。後になって、話しが違うということになりかねません。
同僚ならまだ救いがあります。こちらが英語が出来ないことは重々承知してくれているからです。
お客様が相手だと、聞けないと全く仕事にならず、相手にしてもらえません。英語もできない社員をお客様の前に出せば、信用を失って取引中止になってしまいます。
まさに、赴任当初は針のむしろでした。
英語もできない私は同僚から全く相手にされません。戦力にならないのに高い給料をもらっているのですから当然です。
悔しくて悔しくて、昼休み、仕事が終わった後、週末も全て英語の勉強に充てました。
読むのも書くのも遅いので、同僚の何倍も仕事が遅いのです。夜遅くまで働きました。疲れ果てて帰宅した後にも、自分にムチを打って勉強しました。
同僚からは昼食にも誘ってもらえず、かといって自分から声をかけてもろくに会話になりません。
ずっと一人ぼっちでバーガーキングに通って英語を勉強していました。
ハンバーガーをかじりながら「とにかくリスニングだ」と英語の教材を聞きまくりました。
リスニング力は本当に伸び悩みました。半年たっても全くだめでした。
ようやく光が見えてきたのは、なんと1年半を過ぎた頃です。
そのころにはトピックを自分の仕事の範囲内に限れば、何とか聞き取れるようになってきました。
ただ、難関は電話会議です。顔の見えない参加者がごちゃごちゃ話ます。ただでさえ電話は聞き取りにくいのです。
2年目からは何とか顧客訪問もできるようになりました。但し、まだまだ聞き取りには不安があります。
顧客訪問後には冷や汗でびっしょりで、へとへとになったものです。
3年目になる頃にはかなり英語力もついてきました。ただ、その頃強く実感したのは「日常会話」の方がよほど難しいということです。
通常、英語力はビジネス会話>日常英語のように言われていますが、私からしてみれば日常会話(というより雑談)の方がよほど難しいです。
ビジネス会話であれば、限られた特定の領域での話ですので、言い回しや使われる単語も限られています。聞く方も話す方も慣れてしまえばそれほど苦痛ではないです。
但し、雑談が難しいのです!
トッピックスは決まってない、使われる単語の種類も難易度も多種多様、相手の国の文化、歴史、政治、経済、地理、人名、時事問題等の知識がないと話についていけません。
雑談ができないとお客様に食い込めないので、必須なのです。
とうことで、結局5年弱の海外赴任を終えても、まだまだ英語をマスターするまでには道のりは遠いと思っているところです。
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